「今日、メガネ買いたいなって思ってるんだけど…」

週末、葉月は翔馬と出かけていた。
「え、メガネ?葉月って目ぇ悪いんだっけ?」
「んー…見えないわけじゃないんだけど…」
一番後ろの席はやはり黒板が見えづらいと感じることがある。
「正直メガネってあんまり好きじゃないんだよなー。なんかクソ真面目?に見えそうじゃん?」
「え…そうかなぁ…」
あからさまに嫌そうな表情(かお)をする翔馬に、葉月は少し戸惑ってしまう。
「あ、でも授業中にかけるだけだよ?普段はメガネしなくても大丈夫。」
「ならいいけど。」
(………)


「あー!葉月、メガネ?かわいい〜!」
休み時間、教室で茅乃が言った。
「一番後ろってちょっと見えにくくって。」
「いいじゃん、メガネしてると葉月って結構知的に見えるね。」
「なにそれ〜メガネしてなかったらどう見えるの?」
茅乃はアハハと笑うと、トイレに行くと言って教室を出て行った。

(メガネ…私もあんまり好きじゃないけど、この間の翔馬くんの反応はさすがにショックだったかも…)

——— なんかクソ真面目?に見えそうじゃん?

(そんなイメージなんだ。)
葉月はチラッと隣の羽生を見た。

(たしかに羽生くんとかも真面目そうに見える…………って…んんん…?)

葉月は羽生のメガネをジーッと見た。