「あ、えと……」


そんな私の挙動不審な反応に、小首を傾げる楽先輩。そうだよね、変だよね私。それは、私が一番わかってるんだけど……っ、


「(楽しみより緊張の方が前に出ちゃって……上手く出来ない。さっきまで普通に話せてたのに!)」


心の中で「すみません楽先輩!」と謝る。すると、私の心の声が聞こえたように。楽先輩は「いいよ」と優しい声で言った。


「花畑さんが、すごく緊張してるって事は……。それだけ俺の事を意識してるって事でしょ?」

「……え?」

「むしろ嬉しいよ。ありがとう」

「っ!!」


そう言ってフワリと笑った楽先輩。その先輩の左手にはスマホ。そして、その薬指には――


「(歌沢くんから離れた赤い糸が、楽先輩の薬指に巻かれてある!?)」