「え、どんな顔……?」


首を傾げて聞くと、声宮くんは自分の唇をペロッと舐める。そして――


「物欲しそうな顔」

「!」


恥ずかしげもなく、そんな事を言うのだ。


「み、水が欲しかっただけ!水!それだけ!」

「そんなに欲しいなら、俺が口移しで飲ませてやろうか?」

「け、結構です……!!」


真っ赤な顔をして、大きな声で否定した私。そんな私の姿を見て、また笑う声宮くん。

その笑顔が、すごく無邪気で。良い意味で、子供っぽく見えて。


そんな彼に、私はいつもの怖さを感じなかった。初めは声宮くんに、あんなにビクビクしていたのに。苦手意識が、すごくあったのに。


だけど、いつの間にか――こんなに近くで、声宮くんと話をしている。笑って、怒って、普通に話をしている。