「歌沢が加入しているアイドルグループが存続の危機だ。新曲が売れねーと問答無用で解散らしい。合ってるな?」
「合ってます、けど……。なんで、それを知って……あ」
「あ」の時に、とっさに私を見た歌沢くん。私は「ゴメン」のポーズをした。けど歌沢くんは、怒った顔を一瞬しただけ。あとは食い入るように、凌久くんの話を聞いていた。
「歌沢の新曲について、インタビューする。司会は楽……”先輩”」
「え、俺?」
「女子がキャーキャー言いそうなコスプレして、歌沢のグループに曲の宣伝とか。そう言う系のインタビューをしてほしい」
「キャーキャーって。言い方を考えてよね、声宮くん。先輩の俺にも敬語を使わないし。そういうの悪い癖だよ」
眉を顰めた楽先輩に、凌久くんは「ふん」と鼻を鳴らすだけ。内心「楽”先輩”って言ったんだから文句いうなよ」とか思ってそう……。
空気が重くなったけど、歌沢くんが「それで」と先を促した。さっきよりも、目がキラキラと輝いている。