短時間で凌久くんの色んな表情を見ちゃったから、頭の中がパニックになる。


「化粧似合ってる」って私を褒めたのも、
いきなり「名前で呼べ」って言ったのも、
帰り際、凌久くんが赤くなっていたのも――。


全部ぜんぶ、いつもの凌久くんっぽくなくて混乱する。

あ、だけど、


「そんな凌久くんは、嫌いじゃなかった……かな?」


ドキドキ鳴る心臓に手をあてる。すごい速さ……。ドドドドって、太鼓を連打しているみたい。全身も熱いし、汗ばんでるし。


「いやいや、落ち着いて。私……っ」


ため息一つついて、勉強椅子に座る。すると、目に入るのは――


「私の好きな漫画、と……情報の宿題プリント!?」


しまった!情報の宿題はパソコンがないとできないんだった!学校のパソコンを使わせてもらおうと思ってたのに、すっかり忘れてたよ!