二人がこの海に来たのは、これが3度目だ。

高校時代と、去年再会してからの初デートと、そして今。

再会してからの初デートで、園田は、かつて受け取りを拒否されてしまった、値段の張るワンピースを、改めてリナにプレゼントしたところ、今度こそリナは、微笑んで受け取った。

リナがいま着ているのが、まさにそのワンピースである。

月明かりと波音だけの、二人きりのこの海で、園田が何を考えているのか、リナはまだ読めずにいた。

「俺さ…ちょっと時間が必要だったんだ」

「時間?」

「そう。大学の頃は、寮生活だったから、家事もさほどやってなかったんだ。食堂でご飯は出るし、自分の部屋以外は掃除もしなくてよかったし。洗濯は洗濯機がやってくれるしさ」