リナは、数日休みをとって、独身最後の一人旅に出掛けた。

こんな風に、フラッと一人旅をするのが好きなリナだが、結婚したら…ましてや、将来子供ができたりしたら、なかなかこんなことも出来なくなると思ったのである。

誰も居ない湖畔に佇み、これまでの人生を振り返る。

優秀な両親から溺愛されて育ち、何不自由なく生きてきた。

自分は凡人なのに、親戚や近所の人など、周りの大人から勝手に期待されるのは、結構しんどかったが。

中学時代、初めての恋を知った時、自分の気持ちだけで突っ走ったことは、いま思い出しても、慚愧に堪えない。

しかし、それは園田も同じ気持ちだったというし、もう少し大人になれば、笑い飛ばせる日が来るのだろう。

つらかった時、いつも心の支えになってくれたのは、やはり両親だった。

友人にも恵まれたが、それぞれの道を進んで疎遠になった相手も多く、常に変わらずに居てくれた人というのは、両親以外に居ない。