園田とリナは、両親に挨拶する前、予め打ち合わせをしていた。

「リナさ…ご両親に俺のことは何処まで話したの？」

「まず、職業が教師ってこと。何処で知り合ったのか聞かれたから、もともと中学の同級生で、名画座でバッタリ再会したのがきっかけで…って」

「そうか…じゃあ、過去にすれ違い続けてたことは？」

「話してないわよ。だって、それを話しても、何のメリットもないじゃない？大事なのは今と未来だもの」

園田は内心、少し安堵していた。

今となっては、ティーンの頃のすれ違いは、もはや他人の話かと思うほど、安定した関係を築いている。

しかし、リナのことを傷つけてしまった過去のことを、今でも悔いているのもまた事実。

思い出話になった時、園田は何度も謝ったことがあるが、リナは、

「もういいよ、園田くんのせいじゃないから」

いつも、笑って許してくれた。

そんなリナのことを、園田は一時の情熱でなく、心から愛している。