その夜、リナがアパートに帰ったあと、青山は、

「陽子は、リナに付き合ってる相手がいるの、気付いてたのか?」

寝室のドレッサーで髪をとかす陽子に、青山が尋ねる。

「ハッキリ聞きはしなかったけど、そうだとは思ってたわ」

「何で黙ってたんだ?俺、寝耳に水で、リアクションに困ったよ」

陽子は、髪をとかす手を止めて、青山のほうに向き直す。

「あのね。リナはもう子供じゃないのよ。それに、その時が来たら…リナのほうから言うのはわかってた。実際、今日がその日だったでしょう?」