――カーンカーンカーン……。

初めて聞く、独特なチャイム。

先生に着いていくと、これから過ごすことになる教室があった。

ガラガラと、ドアを開ける音。

「先日伝えた通り、今日は転校生がひとりお出ましだ。ほら、入りたまえ」

この教師のノリはおかしい。ちょっと狂っている。

こんなのについていくとか、未知の世界だな……。

半ば呆れている私であった。

「ほら自己紹介だ」

ぺこっと頭を下げてから言われた通り自己紹介をした。

「武田彩芽(たけだあやめ)です。よろしくお願いします」

〈ねぇ何あの子、可愛いかも〉

〈無口そう〉

〈彩芽って、なんか見た目とマッチしてないんですけどー〉

みんなの心の声。

いいよ、聞き慣れてるから。そういう悪口みたいなの。聞きたくなくても聞こえてくる。

本当に不便だよね。こんな心読めるような力を持って、上手くいくことなんてないし。

先の精神が思いやられるだけ。

視線が合ったらすぐ心の声が聞こえてくる。