私が焦らなくても日々は勝手に過ぎて行くもので、バスケ部の合宿の日はもう明日まで迫っていた。

「音葉ちゃん、今日も一緒に帰ろう?」

穂高くんは前と変わらず、私をいつも家まで送ってくれる。

「明日から合宿だね」

「うん、3日間も音葉ちゃんと一緒だなんて嬉しいな」

「穂高くんは今まで合宿行ったことあるんだよね?」

「うん、何回か。でも今回が一番楽しみ」

穂高くんが私の顔をじっと見つめる。

「ねぇ音葉ちゃん。触れたらダメなのは続いてるんだよね」

「うん」

「それって、音葉ちゃんから触れるのはありなの?」

「え!?」

「じゃあもし音葉ちゃんが俺に触れたら、俺のお願い一個聞いてね」

穂高くんがニヤッと笑った。

「ぜ、絶対触らない・・・」

「じゃあ勝負だね」

穂高くんは心底楽しそうだった。