「おーとはちゃんっ!」

バスケ部のマネージャーの仕事をしていると穂高くんが後ろから声をかけてきた。

「お願いごと決まった?」

「お願いごと?」

「ほら俺、音葉ちゃんに触れちゃったから」

私はあの時のことを思い出して、顔が赤くなるのを感じた。

「あれ音葉ちゃん、何思い出してるの?」

穂高くんがニヤニヤしている。

「なんでもないから!」

私はなんとか気持ちを落ち着かせながら、答えた。

「ついてきて欲しいところがあるの」

「ついてきて欲しいところ?」

「そう。私に魔法をかけた桜の木。穂高くんを連れていけば、魔法を解いてくれるかもしれない」

「俺はこのままでもいいけど」

「そんなこと言わない!」

「分かったよ。でも合宿までは練習に集中したいからその後でもいい?」

「もちろん。じゃあ、約束ね」

穂高くんは部活の練習に戻っていった。