「本当に綺麗よ、エリーザ!」

「サラ、あまりはしゃがないで?恥ずかしいわ」

 純白のドレスに身を包んだ私の回りながら、サラが何回目か分からない褒め言葉を伝てくれて、またしても鏡に映る自分の顔が赤くなっていることに気付いた。

 そんな私を見て嬉しそうに笑うものだから、釣られて微笑んでしまう。

 親友の笑顔はやっぱり不思議な力を持っている。

「こんな夢のような日が来るなんて。私、幸せよ」

「ありがとう。私も今生きている喜びと緊張で、心臓がおかしくなりそう」

「ふふ。私も……あんな一途すぎて傲慢な男とまたくっつかなきゃいけなかったかもしれないと思うと心臓自ら握りつぶしそう。聖女だから王族と結婚しなきゃいけないのは百歩譲って良しとして、なんであの傲慢男だったのかしら」

 ぶつくさ何かを呟いているサラだけど、叩かれた扉の向こうからやって来たフォルスに肩を震わせた。

「サラさん、申し訳ないんだけど、父上が緊張して胃が痛いっていうから、胃薬煎じてくれないかな?」

「はっ、はい!喜んで!!」

 嬉しそうに尻尾を振って行く犬のように、フォルスと共に部屋を出て行ったのとすれ違うように殿下が入ってきた。