――…



休み時間。

私はいつもの自動販売機でほうじ茶ラテを購入していた。


そういえば最近は遊木くんとここで遭遇しないな。

一学期はしょっちゅう後ろから驚かされたりしてたのに。


……まぁ同じクラスで毎日会えてるから全然いいんだけどさ。




「三島さん!」




ふと、そこで私を呼ぶ声が聞こえてくる。

振り返ると、なんと鹿野くんが小走りでこちらに向かって来ているのが見えた。




「鹿野くんだ。どうしたの?」


「あ、いや……ちょっとね」




少しだけ歯切れが悪い鹿野くんに首を傾げる。


なんだろう。

ていうか鹿野くんとこうやってちゃんと話すの、体育祭ぶりかもしれない。




「あのさ三島さん。文化祭って友達と回る予定?」




……え。

文化祭?




「あ……うん、今のところは友達と回る予定…」


「やっぱりそうだよねー…」




うーんと頭の後ろに手をやって、なんだか言いにくそうに苦笑いする。



……ん?

この質問してくるってことは……まさか鹿野くん……。




「……あの、ちょっとだけでもいいからさ」


「……」


「文化祭、俺と回らない……?」




……や、やっぱり…!



かあっと赤くなってるのが分かる。

それは目の前の鹿野くんもそうだし、もちろん私も。



……誘われちゃった……鹿野くんに。

まさかの鹿野くん。


え、ちょっと待った。

なんで私なんだろ。


しかもこれって……友達含めて“皆と”ってわけじゃないよね?

確実に“2人で”って意味だよね??