「ケンタローまじで真っ黒だったな」
「あいつハワイでも行ってたんか?」
男子達の笑い声が聞こえてきたかと思えば、目の前のドアからぞろぞろと男子グループが入って来た。
ハッとして顔を向けた時、男子達の中に混じる遊木くんとバッチリ目が合って。
自分でもビックリするくらい、鼓動が強く打ち始める。
「お、三島さんと松本(恵美)さんおはよー」
「おはよ〜」
皆が挨拶してくれて、私も恵美も同じように「おはよー」と返す。
そして、肝心の遊木くんも。
「おはよー」
いつも通りで、平然としてて、彼にはなんにも変化は無い。
なのに、私の感情は明らかにいつも通りではない。
髪変じゃ無いかな、とかどうでもいいことまで気になってしまうほど。
…それにしても、かっこいいな、遊木くん。
それからそれぞれ自分の席に戻っていき、もちろん遊木くんは私の後ろに座った。
「なーなー」なんて遊木くんから声を掛けられると、過剰に反応してしまうから困る。
「?」
「三島、ちょっと焼けたな」
……ハッ、やっぱりそう!?
恵美とプールとか行ったし、結構焼けちゃったんだよね。
遊木くんにバレちゃうほど焼けちゃったのはちょっとショックかも…。
「うん…。遊木くんも黒くなったね」
「日焼け止めとか塗らないからなー。一瞬で黒くなるわ」
「良いと思う」
「何だそれ。良いのか?」
ふっと笑う遊木くんにキュンとする。
あぁ、もうほんとに好き。
久しぶりに会えて嬉しいし、この細い目が愛おしい。
話せてるだけで幸せすぎるよ。
席が近いことにこんなに感謝したことない。
……でも、恐らく今日は“席替え”があるんだよねぇ……。