「お、おい!黒瀬!馬鹿言うなよー!約束しただろ?俺は───「してないんだけど?約束って言ってもないし、その場を見ただけだよ?晴翔ってもしかして馬鹿?」

……確かに言ってなかった。
約束でもない。脅しもさらっと流された。

ど、どうしよう。

「あ、の何を言っているの?黒瀬様?私は、晴翔さまが男だと……「だから、違うって言ってるの。ねっ?晴翔?」

「違うぞ!おい、黒瀬……お前、騙したな?!」
「騙してなーい。君が晴翔だとは思わない。」

「おいおい。そんな喧嘩みたいなことしないで……、アリアが決めることじゃないか」
先生はそう言った。正に、その通りだ。

そして、付け足すように先生は言う。
「1ヶ月まで、考えられるのだから、アリアはよく考えるように。黒瀬。後で、話を聞く。」

この瞬間、クラスのみんなは思った。
かっけえ!!と。

でも、一人だけ、かっけえと思っていない人がいた。
それは、僕。

僕は───私は、退学という文字が頭の中に響いたのだから。


だが、このクラスの『姫』が誘った『騎士』の承諾は保留とされたのだった。