真ん中らへんの席に座っているツインテールをした女の子。
綺麗な漆黒の髪で綺麗に天使の輪ができている。
そう、この子が──────有明アリア。
日本の3大財閥の一つ。有明財閥の娘であり、モデルでもある有明アリア。
モデルでもある、彼女だからか、男がコソコソと小声で騒ぎ出している。
その当の本人は、背筋を伸ばしながら、私の方へと見てきた。
やばい……アリアにバレたら……やばい!!!
『ねえ、あんたのお兄様に渡して?って言ったよね?何で、そんなことも出来ないんだよ!!』
……うっ。やばい。思い出してしまった。
見られるな。見られるな……!
「おーい!!!有明の話聞けー!」なんて先生は言って。
静まったけども、またコソコソと話す、男たち。
さぁ、アリア様の『騎士』は誰なのか。
「決まりました!先生!」
なんと、可愛いお声。僕の声とは大違い。
「日向晴翔さんにします!!」
……!!!???
今、なんて言った……?
「おぉ。分かった。晴翔、よろしくな!」
いきなり決まった『騎士』と『姫』。
──────『騎士』日向晴翔(十夏)
──────『姫』有明アリア
1年3組、『姫』と『騎士』決まりか───。
「いいですよね!??晴翔さん!」
こんな顔、私の前ではしたことがなかった……。
なのに、やっぱり、お兄ちゃんともなると、こんな顔になるなんて……。
でも──────もし、断ったら?
『晴翔さまに渡してって……』
何で、今、トラウマが……!?
大丈夫。断らなければ……。
「よろ─────「ダメでーす。俺がダメって言ったら、だーめ」
「ねえ、俺とにしない?アリア様?」
「うわっ!黒瀬拓也、セコー」
「ヤバすぎだろ……」
「アリア様じゃなくて、黒瀬拓也から……って」
「チャラすぎ」
なんて声が聞こえてくるけれども。
黒瀬拓也はにっこり笑う。
笑うと思ったら……衝撃的なことを言った。
「日向晴翔って、女の子だから。……ごめんね。」
「えっ……晴翔様が……?」
あぁ。やっぱり、こいつは、黒瀬拓也はチャラいし、カスだ───。
でも、なぜか、私は思った。
黒瀬拓也でも、守ってくれると───。
─────だから、信じる。
冗談だよね?黒瀬拓也?