「……お前は姉貴と廊下か、学校の外出てろ」

「えー…嫌だっつたら?」

やばい。何故だろう。
すごく黒瀬拓也だけが私は見れない。

「ぶっ殺す」

怖っ!!!?

「そんな物騒なこと、言わなくても…!!
拓也兄ちゃん!」

「本当、思うんだけど、
呼び捨てで良いから。十夏限定だけど」

「……へっ!?」

「…あっ、また顔、赤くなった」
にやあと笑って、私を見る黒瀬拓也。

何故だろう。
この人は、私の運命の人なのだろうかと思うくらい、
何故か黒瀬拓也といると心地良い。

「……っ!!」
私は顔を手で隠す。

そしたら、私の好きな人が。

「困った顔、もっと、見せて?」
私の耳横から、吐息を含めて言った。

……っ!!?

「おい。」

…!?

「お兄ちゃんを忘れるな」

「……ご、ごめん!お兄ちゃん!!」

「本当、俺の妹は、兄には興味がもっとないのか!」なんて怒って言ってて。
けれどもそれは、すごく心の中では嬉しそうな言い方で。

私は、「ごめんって…!」と謝り返す。
そうしたら、お兄ちゃんは諦めたように、「はぁ」とため息を吐いて。


「拓也。
お前は、俺の妹を、俺の大好きな、初恋の人を────」


……?初恋の人?

私は途中、そう思った。けども、それは空耳だと受け流した。


「────絶対、守ると約束してくれ」

そう言いながら、お兄ちゃんは拳を、
黒瀬拓也の心臓があるところの胸に付けて、保健室から出て行った。

……と思ったら、止まって。

「あと、俺の妹が遮った話、お前から!拓也から!言えよ」

「はいはい。分かったよ」なんて拓也兄ちゃんと話していたけれど、私にはよく分からなかった。


そして、その保健室の扉から。

「あとは、二人で……存分にねっ」

語尾にハートマークが付きそうな勢いの黒瀬拓也のお姉様が顔を出し、
保健室の扉に掛けてある看板を『CLOSE』にしていた。


……えっ!?
ちょっと!?


「…んで、聞かせてもらおうか。
俺の愛してやまない人の告白を」


……どうしましょう。
私の今の感情、好きっというより怖いが勝ってると思っております!!

というか、今、黒瀬拓也は────



────騎士じゃなくて、大悪魔の顔になってるんですけど!!?