姫でもないし、騎士でもない。


……それは。
なんか、嫌だ。

嫌だよ。
お兄ちゃん。

「そっか。」

「なんか、学園(ここ)に慣れちゃったよ。」

「じゃあ────「……あと!黒瀬さ…じゃなくて。拓也がいると、私、胸が痛くなって。」

私はお兄ちゃんの提案のお話を声で遮る。
だって、ここが、好きになってしまったから。

「うん。それで?」

私が、話を遮ってでも、真剣に聞いてくれてるお兄ちゃん。
こういうところは好きなんだよな。

「けど、一緒にいると、何だか心地良くて。」

「……もう、それってさ」
“本当”に笑いながら、お兄ちゃんは言った。

「恋、でしょ?」

「……こ、い?」

「うん…そう。恋。
きっと、十夏は、初恋かな?いや、2度目の恋?」

……えっ?
誰に?私が恋をしてるって?

「誰、か?」
そうお兄ちゃんから言葉が発せられたとき、私は心の底から大きく頷く。


「チャラい人で、でも、一途な、悪魔の俺様の人だよ」

私の好きな人って──────

「……それって「そこまで。晴翔。そこからは、俺に言わせろ」

────もしかして、黒瀬拓也?

そう思ったときには、もう。

私の視界で、黒瀬拓也を見ると顔や、体全体が綺麗にキラキラのオーラに満ち溢れているように見えた。