「はぁ。行った。本当、十夏のこと、好きすぎるんだから」
へ?
好、き?
すぐに私はお兄ちゃんの言葉に瞬時に言葉を返す。
「うん。好きだよ?拓也はね、十夏のことが大好きすぎるから」
「……好き…」
分からない。
LIKEか、LOVEか。
「…うん…それ、俺に言ってくれると嬉しいな」
ニコッと笑うお兄ちゃん。
保健室には、私とお兄ちゃんしかいなくて。
保健室の先生(黒瀬拓也のお姉様)と黒瀬さんは廊下に佇んでおります。
お兄ちゃんはすごく嬉しいそうだけど、切なそうな顔。
お兄ちゃんは、小さい声で、私に聞こえない声でボソリと。
「俺さ、拓也に取られて、マジ、悔しい」
そう言っていた。
「えっ?」
けども、私には、少しだけ聞こえていて。
「ううん。なんでもない。」
また、ニコッと笑顔で私に向かって、笑う。
私は気にしなかった。
もし、私が触っていたとしても、お兄ちゃんが気を使うと思うし。
「……そのリング、まだ持ってたんだ」
お兄ちゃんが話を逸らし、私の首にかけているアクセサリーについて話した。
そう。リング。
拓也兄ちゃんが渡してくれた、リング。
……まだ、意味は分からないけども。
「うん。持ってるよ。」
「俺と初めて会ったときから持ってるし」
「うん。すごく大切なもの」
私は首にかけているリングを持ちながら、話す。
「ねえ。学園にいたい?」
「……えっ?…うーん。いたくないかな?」
「じゃあ、都合が良いな。
お兄ちゃんと、入れ替わりだ。」
「へっ?…な、んで?」
そうお兄ちゃんから言葉が私の耳に聞こえたとき、私の感情は。
すごく、掻き乱れていた。