私は、小さい頃。
隣に住んでいた同い年の可愛い男の子と1日に1回は遊んでいた。小学校も同じ。
私はその子のことを、〝拓也兄さん〟か〝拓也兄ちゃん〟と呼んでいた。
私と同い年だけれど、あの可愛い男の子が同い年だとは思わなかった。
なんか、私と違ったような気がして。
しかし、あの男の子は、喘息を持っていた。
遊びたいって男の子は言っていたけれど、体の事情で、楽しく遊べなかった。
けど、中学時代に喘息も治っていき、楽しく、勉強に私と一緒に励んでいた。
すごく、楽しかった。けども。
高校受験も終わり、夢のJKになれると思っていた頃。
「ごめんね。十夏。引越しすることになったわ」
……えっ?
引越し。
最初は信じられなかった。けども次第に、嬉しさが込み上げてきて。
だけど。悲しさも来た。
「……な、んで?」
「私、再婚することになったの」
「……えっ!?再婚!?」
「ええ!そう!!すごくイケメンな人と…ね!」
「はぁ…」
やばい。頭の中の処理が追いつかない。
再婚?引越し?
じゃあ、拓也兄ちゃんと遊べない?勉強、出来ない?
「……だから、ごめんね…拓也くんとは遊べなくなるの…」
悲しい表情でお母さんは言う。
「……そ、っか」
「よろしくね…十夏…」
最後に、「ごめん」とでも言いたそうな顔で、お母さんは言っていた。