「あ、あの!どうしたの?蜂重!」

「……」

……沈黙?

なんで呼び出したのだろう……?
分からない……。


そう。蜂重が私を呼び出した。
私はなんだろう?とも思いながら、蜂重に言われるがままに。

付いて来てしまったというわけだ。



黒瀬拓也が寝てる間に!なんて歩いている時に言われたけど。
それに少しだけ笑ってしまったけど………。

今でも笑える。

黒瀬拓也が寝てる時に『隙』というものが生まれるなんて、思ってもみなかった。

……それより!
蜂重がなんで呼んだのか分からないままなんですけど……?

私から声を出した方が、気まずい空気(沈黙)終わるかな?

そう思い、私は、
「……あ、あのー?」
と口に出した。

その瞬間!

「……悪気はない」

パシッ!という音で私の片腕が掴まれ、すごく速い、早歩きで、
何故か、空き教室へと着いたのだった。


「えっ!?」と言い終わったときには、もう。


ドンッ!

背中が押され。
後ろにはガラが悪い、男三人衆がいて。

そして、ぴしゃんっと綺麗に閉まる、空き教室の扉。

「……っ!!!?蜂重!!!?」
私はすぐ、蜂重の顔を見る。

そうしたら、
「悪気はないと言っただろう?」
と蜂重は言った。

さっきの顔と違う!
エンジェルじゃねえ!!

エンジェルという名の悪魔だ!!


「おい。こいつが……」
「やばい…可愛すぎでしょ…」
「早く、遊びてえ」

「……っ!!!!!」

怖い…怖い……。
ど、ど、どうしよう…!

私は自分の腕を反対の手でさする。
怖いとどうしようと、焦り、不安、恐怖が、身体中に響く。


「ねえ、ちょっと確認するだけだから、許してねー」

嫌だ!嫌だ!!

怖い!!
そう思っていると同時にプチ。プチ。という音ともにボタンが外れて行く。

その音に嫌気がさす。物凄く。

「も、もう……やめてくだ…さ、い!」

「へえ〜…君、否定もできるのね〜…唆るわ」

「……っ!!!」

唆るなんて言葉で鳥肌が立ったのが初めてだ………。
黒瀬拓也の声では鳥肌は立たなかったのに。

「アリア様、やっぱり。こいつ……」

アリア……?

もしかして!!!
私は、教室の扉の窓を見ると………。

「あら?お久しぶりね?……晴翔様────
────ではなく……日向十夏!」

……変わった…態度が…。


あぁ。ここには味方もいない。
助けても、求められない。

怖くて口が出せない。


誰でも、良いから────。


「たす、けて」