うそつきな唇に、キス





「………、え、あの、それ、わたしに教えて大丈夫なんですか……?」




突風が吹くように。流れる川に波紋が生まれるように。あまりに自然と放たれた事実に、思わず面食らってしまった。

それは、わたし相手に教えていいことではないのでは……?


けれど、そんなわたしの疑問は。




「……える相手に明かしたところで、何も変わりはしない」

「それは、そうですけど……」




簡潔で、されど素直に頷いてしまうにはあまりに危うい思考の終わりに、曖昧な答えを返すしかなかった。


……ほんと、わたし相手にもう少し警戒する色を見せて欲しい。……表に見せていないだけかもしれないけれど。




「ええっと、では、次は若サマ、どうぞ」




とりあえず、聞いておきたいことは聞けたので続きを促すと、若サマはぽつりとソレを呟いた。

ある意味唐突で、けれどどこか話の脈絡を感じてしまうような、言葉を。




「えるは、………えるは、もし、もう一度その親に逢えたら、どうしたい?」




それは、予想もしていなかったこと。

だって、もし、なんてあるかもわからない未来のことを聞かれるなんて、若サマの人柄などを鑑みても、あり得ないことだと思っていたから。


そして、なぜ一瞬躊躇うように、迷うようにして吐き出されたのかも、理解できなくて。

……でも、この〝もしも〟は、実は以前からこうすると決めていたことがある。




「それはですね、」




勿体ぶるように言葉を止めて、この場にいるふたりには、ある種悍ましいと思われるような自身の未来を、吐露した。




「もちろん、─────ちゃんと、ころしますよ」