うそつきな唇に、キス





たぶん、若サマがしてくれれば万事解決の事案だったのだろう。

最初も、上書きも。


けど、若サマだから。

他人に無関心で、自分のことにも無関心で、誰が何を言おうと、しようと、関係ないと言わんばかりの態度を貫いている人だから。

ある意味仕方ないのかもしれない。


そこに至るまでの時間も、想いも、わたしは、……否、この場にいる誰一人として、互いに共有していないから。




「……じゃ、今度はえるに染めてもらうか」

「えっ、わたしでいいんですか?うまくできないかもしれないですけど……」

「いーんだよ、喵様にやられるよりは全然安心だわ……」

「それは……、あまり安心していいものでもないかと……」




信念、あるいは憎悪。はたまた、ささやかなる洗脳。


うちに秘めるものは、文字に起こされたとて推し測れるものでもなく。

……知っていようが知っていまいが、それは単なる情報かつ知識でしかないのだ。




「……って、話だいぶそれたな。えるか若、質問思いついたか?」

「……あっ、」




まずい。本当に本題を忘れるところだった。