そう。私は勉強がダメダメなのだ。
がっかりすることに。
定期テストも、平均点ギリギリセーフだし。
何にも覚えない。……まぁ、努力するのが嫌なのだ。面倒臭いなのだ。
努力という言葉は大嫌いだ。
だけど、先輩が。
「努力をすれば、お前の兄に追いつけるかもしれないな」
なんてニヤケ顔で言ってたっけ。
私がそう言っていたとき、自分の瞳の奥に小さい、小さい炎が灯された。
「ーーーーーーまだ、お兄さんに追いつけませんから。先輩、教えてくださいよ……」
まだ、残ってる。
先輩に渡したチョコの箱の感触が。
すごく、嫌な渡し方だった。
だけど、それで良い。
好きな人がいたって、私はまた、好きな人を見つければいいという話だけ。
ーーーーーーーーーーーー「ありがとうございます!」
ーーーーーーーーーーーー「好きでした!!!付き合ってくだ、さい!!!」
なんてベタなバレンタインのお話。
現実になっている人もいるし、いない人もいる。
その私はいない人ですが。
「はぁあああー。」
もうすぐ、バレンタイン。
いつも、何で好きな人に渡すんだろうって、小学生のとき、思ったけど。
今は、もう、バレンタインの前から、私には先輩が好きな気持ちが溢れていた。
“好きな人”
そんなのいなかったのになんでこんなことになっちゃうかな……。
ーーーーーーーーーーーーキーンコーンカーンコーン。
あっ、予鈴。
5、6時間頑張るかーーーー!!
……っというか、みんな戻ってきてないじゃん。最悪……。
待って。
……確か今日って……?
私は後ろの黒板を見た。そしたら、5、6時間のところに、白いチョークで。
『自習』と書いてあった。
えっ……?そうだっけ?
自習だったっけ?最悪……と思ったら、ピロンと聞こえた。
何?と思って携帯を、見たら。
『先輩』から来たメッセージだった。
!!!?
先輩?!!な、んで???!
少しだけ携帯を持つ手が震える。
「な、んだろう?」
ポチっと押して、メッセージの内容を見た。
『心、お前、放課後と言ったが、今日は金曜日。5、6時間しっかり自習だが?またあそこで待ってるぞ』
……嫌だ。
初めてだ。こんなにも、嫌な気持ちが溢れてくるなんて、初めて。
読むだけで、先輩の声が頭の中に聞こえる。
でも、好きな人、いたよね?
先輩ーーーーーーーーーーーーーーーーーー。
少しだけ、また私は自分の胸が苦しくなった。


