わたくし、白咲心。14歳。まだまだ、若い中学2年生。
受験生の前の年です。

今、目の前のことに、すごく、非常に、胸が苦しくなっております。

あれ……?失恋って、こんなに早かったけ?

「ごめん。だし、何、俺にバレンタインチョコあげるの?」

……ちょっと待って。
これは来るぞ。

悪魔が降ってくる。


「はい!そうです!私は先輩が好きです!付き合っーーーーーー「お前は馬鹿?俺にバレンタインチョコをあげるのって何万年早いわ!」

ほら。来た。


っていうか、いたんだ。

先輩にも。




好きな人。


私は壁に寄り掛かりながら、自分が持っていた箱をぎゅっと握りしめる。


私が尊敬して。

笑顔がかっこよくて。

眼鏡をかけていて。

それでもかっこよくて。

どこを言っても、the完璧イケメン!


なんて人が。


私に勉強を教えてくれてたのに。

『よく出来たな』


………っ。
脳裏に響く一人の男の声。


その男の声がーーーーーーーーーーーー


「ーーーーーー面倒くせえ。って誰?君?」


ーーーーーーうん。さっきのイケメンの像はどこ行った!!!?
渡している人、あんぐりしてますけど……!!?

もう、塵にもなりそうだよ……!!?


私は先輩のモテ期の死を覚悟した。けれど。


私に見せる素の優しい笑顔は。




私にだけだった。



イケメンの笑顔って破壊力がありますよね。
それに、私にだけって思った時は、何度顔を赤くしたか。