こんな壮絶な過去、だれかれ構わず明かしたいなんて思わない。
気軽に話していい話ではもちろんないだろうし、私だってお母さんのこと軽い気持ちでは話せない。
だって聞かせたとしてその人は困るだけでしょう?
「でも朱音だからこそ、話せたんだよ」
「....ありがとう」
「なんで朱音がお礼を言うの?」
「伊月が私に対して嬉しいことを言ってくれたから」
「....変な奴」
「そんなこと伊月ならとっくの前に知ってたと思ったけど」
「自覚あるんだ?」
「一応ね」
こんな何気ない会話があって、隣に伊月がいて、柔らかな空気が幸せ。
いつ壊れるかもわからないけど、この繊細で温かい世界が今の私にとっては居心地のいい場所。
.....私はいつからこんなにも伊月の隣が居心地よいと感じるようになったんだろう。



