「私、伊月が優しい人間である所以が分かった気がする」
血は繋がっていないけれど、育てのご両親が彼にたくさんの愛情を注いでくれたからこそ今の彼がある。
彼がどれほどの悲しみを背負ったのか、私には感じることすらできない。
だけどもそれだけの状況の中で、色んなものに巡り合えたからこそ彼は優しい人になったのだと思う。
大好きだった両親が失ってもなお懸命に生きていたからこそ、つかみ取った幸せなんだ。
全ては小さい頃の伊月が必死になって頑張った結果が今に繋がっている。
「聞いてくれてありがとう」
それだけ言ってこてんと私の肩に寄り掛かってきた。
柔らかな髪の毛が肩にかかって少しだけくすぐったい。
「ふふ、どういたしまして。特別なことは何もしてないけれど」
私はただ伊月の話を聞いていただけ。



