「きっと両親が死んで、俺1人しかいないことに気づいて来てくれたんだろうね」
伊月には兄妹もいなくてご両親と3人で暮らしてきた。
ということは彼は8歳で天涯孤独の身になったということ....。
「そして親戚に引き取りを拒否された俺は児童養護施設に入った。誰も頼れる人がいなかったから」
今まで幸せだった日常は一瞬の出来事によって壊されてしまった。
それがどれだけ彼に暗い影を落としたんだろう。
私は泣きそうになる気持ちを必死にこらえて、涙がこぼれないように唇をかんだ。
「それからは施設で育てられたけど、俺はずっと苦しかった。両親がいないという現実を受けとめられなかったから」
そんなの....当たり前だ。
いきなり理不尽な巻き添えでご両親が亡くなって、そんなの受けとめられるわけがない。



