「だからその時からこの進路を選ぼうと決めてたんだ」
「....そっか。朱音はすごいね」
伊月はそれだけ言ったかと思うと、私の頭を優しくなでた。
その手は温かくて思わず涙がこぼれそうになった。
「.....どうして?」
「何となく、こうしたくなっただけ」
そう言って撫でる手をとめなかった。
私も無理に抵抗することはせず、ただ身を任せていた。
この温かな空間が居心地が良くて、彼の手の優しさに浸っていたかっただけなのかもしれない。
「...伊月はどこの大学へ進学するの?」
「向来大学の国際学部に行こうと思ってる」
「さすが伊月はそんなレベルの高い大学を目指してるんだね」
それが彼らしいとも思った。
向来大学はここから少し離れているけど、名が知れた国立大学で入ることよりも卒業することの方が難しいと言われている。



