自殺の名所といえば、ナイフ――わたしの場合は包丁――、屋上から飛び降りる、というこのふたつが有名なんじゃないかと思う。

まあ個人の感想だから本当に有名なのかは分からないけれど。

ただ単に小説の読みすぎ?

で、今回命を絶つ方法として、ふたつの中から選ぼうと考えていた。

ナイフ……包丁だと給食室にでも行って包丁を借りるか、自分の家のキッチンの包丁を使うかの二択になる。

給食室は放課後なら誰もいなくて空いているみたいだけどひとりで行くにはちょっと怖い。

家は無理。

絶対無理。

お母さんは専業主婦だからずっと家にいる。

しかもお母さん、料理好きだから前日から準備しなくちゃいけない料理もしょっちゅう作るんだもん。

キッチンなんて大抵お母さんが立っていて入れそうにない。

だから家は無理。

給食室も怖いし、家のキッチンは無理だし。

……どうして怖いんだろう。

怖い?

何が。

死ぬことが?

そんなわけない。

給食室に足を踏み入れるのが。

大人にバレたらどうしようというのが。

それが、怖いだけ。

きっと、そう。

……そしたら残るは屋上だね。

ま、屋上から飛び降りるってのも楽しそうだからいいや。

景色とか、良さそうだし。

わたしの学校は四階で屋上を入れて五階。

これなら飛び降りても死んで終われるはず。

生きてたらそれはそれで困るな。

……とひたすら自殺を考えている。