「今年に入って花は怪我ばっかりだな。
厄年じゃ無いか?
一度厄祓いに行かないといけないな。」

「お祖母様みたいな事言うんだね。」
また、花がクスクス笑う。

柊生もつられて微笑むが、
本気でお宮には行かなければと思っている。

「困った時の神頼みって言うだろ?
これ以上、大怪我されたら俺の身が持たない。
花と俺はもはや一心同体なんだ。
もっと自分を大事にしてくれ。」
大袈裟だけど、本心だと柊生は思う。

「ごめんね。心配ばっかりかけて。」
今度はシュンとなって落ち込んでしまう。

「いいんだ、それが俺の役目だから。
だけどもっと、痛くて辛いくて悲しい時は
素直に俺にぶつけて甘えて欲しい。
全部受け止めるから。そうすれば花の痛みは少しは減るだろ。」

「ありがとう…。」

花は思う。
母との2人の生活の中で、心配かけたく無くて、痛みを隠す事が得意になっていた。

いつしか自分にさえも、痛く無い、
問題無い、大丈夫って、思い込もうとしてたんだ。

それを柊君はずっと気付いていて、
兄の時でさえ、私を揶揄ってわざと怒らせて感情を出させようとしていたのかも知れない。