私達が庭のガゼボに到着する頃には、すっかりお茶の準備が整っていた。コポコポと心地よい音をたてて、温かいお茶が注がれる。メイドや護衛は見える場所に下がらせたので、今は2人きりだ。これで私達の会話は聞こえないから、安心して「サラ」と「エド」で話すことができる。



「素敵な家族で安心したよ」
「ふふ、ありがとう。無理やり嫁がせる両親じゃなくて、良かったわ」



 権力主義者なら娘が何を言ったところで、隣国の王妃になれるかもしれない求婚を断る人などいないだろう。両親が娘を大事にしてくれる人で本当に良かった。



「相変わらず、苺が好きなんだね」



 テーブルには、苺を使ったケーキやジャムが所狭しと置かれている。入れたばかりの紅茶の良い香りが広がり、先程の話し合いの緊張がほぐれていくようだ。



「ローズも大好きだったの。それにこのジャムは、お父様が作ったのよ。お父様は休日にジャムやケーキを作るのが、趣味なのよ」