それは朝食を食べて、すぐのことだった。


「ローズ! 大変だ! お前に婚約の申し込みが来ている!」


 父が突然大声を出して、母と一緒に私の部屋に駆け込んできた。先日サラとしての前世を思い出したばかりの私は、名前を呼ばても気づかずポカンとする。母親に「ローズしっかりして!」と肩を揺すられ、初めて「私だ!」と気づいたくらいだ。


「お父様、どうしたのですか? 私に婚約の申し出とは……?」


 まだ10歳なのに、いくらなんでも婚約は早いのではないだろうか?


「お前はキース王国のジーク王子に、見初められたんだ!」
「ええ!?」


 ぜえぜえと肩で息をしたお父様は、私に手紙を渡してくる。読んでみると、背中がぞわぞわする様なことが書かれてあった。代筆なのだろう、綺麗な筆跡で「ローズの美しさに一目惚れした」だの「一生大切にする」だの、甘い求婚の言葉がずらずらと並んでいる。


 ……絶対におかしい。昨日の様子では私を気に入っているそぶりは全くなく、反対に警戒しているように見えたけど。何か裏がありそうだと思った私は、両親に昨日あったことを話した。もちろん前世のことは抜きで。こういう時に1人で行動して、良い結果になったことはない。私も前世からちゃんと学んでいるんだからね!