【ういこん小説コンテスト用作品】優しい恋の育て方




 お兄ちゃんと別れ、パステルピンクのキャリーケースをコロコロ転がしながら私は大きな学園の建物を見上げ門を(くぐ)った。

 学校の敷地内に入り、部屋割りの表を見て自分の部屋に向かう。朝早いし相手はまだいないだろうな、と思いながら部屋番号を目指し歩く。
 深呼吸をするとドアをノックをする。ノックするけど、誰も出てこないのでそのまま入る。


「おはようございまーす……」


 そう言いながらリビングっぽい場所に入るとキッチンの方で音が聞こえた。