「ふふっ、ですねぇ……でもお嬢様にも好きな方ができて私は安心いたしました」
「……え?」
「だって、七海学園高校に行くだなんてびっくりしましたし。ニュースで、一攫千金婚校って呼ばれてるところになんでって」
「そ、そうね。自分でも驚いたけど……でも、素敵な人と出会えたわ」
本当にあの時の自分を褒めてあげたい。
「そうなんですね、良かった。じゃあ、素敵な方と一緒になるために郁花お嬢様が頑張らないといけないですね」
「……そうよね」
「はい。今はムカつくかもしれませんが、旦那様と向き合って自分の口でちゃんと伝えてみたらどうでしょうか?」
そうだよね、思ってることちゃんと伝えないと伝わらないよね……?
「ありがとう、サエさん! 私、ちゃんと話をしてみる!」
私はサエさんにお辞儀をして公園を走り出した。寮には戻らないで私は、家へと向かった。
「お父様、お話があります……!」



