『ぜーったいに、お父様が決めた人となんて結婚しないもん!』
今までお父様に反抗したことがない私、樹神郁花は十五年生きてきて初めての出来事だった。
だから、お父様もとても驚いたに違いない。私のお父様は樹神リゾートを経営している社長で、私は社長令嬢という立場。社長が娘を溺愛しているのは社内では周知の事実……だから。
『絶対にそんなこと、許さないっ』
何度も何度も言い争いをしていた私にとって、“七海学園高校”は私の味方をしてくれた神様のようなものだった――
七海学園高校とは、いわゆる一攫千金婚校と呼ばれている。
超高性能なマッチングシステム“デステニー”によって組まれたペアで寮生活をしながら仲を深め……三年間過ごし、その中から“金の夫婦の卵”が選ばれ、選ばれたらカップルは卒業と同時に入籍し七海夫婦の跡を継ぐことができるというこの学校に私は運命の出会いをしたのです。