暫くして、ドアがコンコンと鳴った。

冬夜さんがドアから顔を出す。

冬夜さんはたまに私に会いにきては甘い言葉を吐いて帰っていく。


「翠ちゃんは今日も可愛いね」

「翠ちゃんのこと守らせて」

「一生翠ちゃんのこと大好きだよ」


甘さに酔いそうになる日々。

縋《すが》って一人じゃ立てなくなるのが怖かった。