冬夜さんはスタジオで私にポーズの撮り方、目線の送り方、色々なことを教えてくれた。

帰り際、お礼を言うと、

「俺は翠ちゃんの優しさにつけ込んでるだけだから」

と返された。

貰ってばかりは嫌なのに、返せるものもない。

「私は冬夜さんに何も返せないのに」





「翠ちゃんは俺に愛されてるだけでいいんだよ」





甘い溺愛に溺れそうになる。

冬夜さんと別れた私は、帰り道を歩きながら空を見上げた。





「翠ちゃん。逃してあげれなくてごめんね」





そんな冬夜の呟きは夜風に流された。