「クドさん」

「琴様、わたくしの事はどうかクドと呼び捨ててくださいませ」

目上の人を呼び捨てで呼ぶのには抵抗があるが、私のこれからの立場上、こういう事にも慣れていかなければいけない。

「…クド。ここはお城じゃなくて間違いなく学校ですか」

「はい、間違いございません。

学園の創設者の方が生徒たちが広い視野を持てるようにと、当時では珍しいロマネスク建築を取り入れて造られました」

「なる、ほど…?」

「他にも中庭、湖、教会もございます」

「はぁ…、ここだけ別世界ですね…」

周りに建物はなく、本当にワープしてきたのではと錯覚してしまいそうになる。

実はだいぶ前から混乱していたが、近くで見ると別格である。