「ちょ、何やってんの……」

私が翠くんに抱きついたら、翠くんは驚きながらも受け止めてくれた。

返事は素っ気ないけど、ねぇ、私、翠くんが好きだなぁ。

「俺、知ってたよ。お前がめっちゃ練習してたの」

うん、それは本当に驚いた。確かに部屋の前は通ってたけど。

「俺、お前のそういう努力、好きだよ」

っ!

「翠く、ん……、や、やさ、やや優し、い……っ」

ヤバいよ、もっと好きになっちゃうよ。

やっぱり私、翠くんがいいな。

金の夫婦の卵(ゴールデンカップル)に、私は翠くんとなりたい。

「千陽……頑張ったな」

そう言って翠くんは頭を撫でてくれる。

初めて名前を呼んでくれた。

翠くんの腕の中は、ものすごく心地よかった。