「緊張するような相手じゃねぇって。あいつらを見てみろよ」


怜央が指差す先にはテーブルの上に出されたお菓子をつまむ新那と真宙くんの姿が。


「瑠佳ちゃんが緊張するなんて珍しいね」

「怜央も言ってるけど、そんなビビるような相手じゃないよ」

数時間前、今日のことをどこからか耳にした真宙くんが新那を誘って怜央の家を訪ねてきた。


「逆に新那は落ち着きすぎじゃない?」

どちらかといえば人見知りをするのは新那のほうだ。


私は人見知りでこうなってるというよりも散々、闇狼のメンバーから素敵な人だと聞かされていた櫻子さんとの対面を前に、変なプレッシャーを感じているだけだ。

……大切な幼なじみの彼女が私なんかでがっかりされないだろうかって。

怜央の話では私と櫻子さんは一度、顔を合わせているようだけれど正直、その時のことはよく覚えていない。

余計なことをしてなきゃいいんだけど。