コンコン。

「誰だ」

アルフリード様の低い声が部屋の中から聞こえる。

「サラでございます」

暫くの沈黙の後、アルフリード様が出てきた。

いつもの優しそうな笑顔。

「サラ、どうしたの?」

ああ、分かった。

王子様のような優しさはこの人にとっての仮面なんだ。

夕食前の甘い言葉も私を誤魔化しただけ。

「私たち、夫婦になったんですよね?」

「そうだよ」

アルフリード様の声色は変わらない。