「お前は全然分かってねぇよ!何でコスプレなんかして店で働いてんだ!」
「コスプレじゃありません!ちゃんとしたバイトの服です!それに、お金が欲しいからという理由でアルバイトをして何が悪いんですか!」
「バイトするのは悪くねぇよ!内容の事を言ってんだ!」
バイトがバレた日から数日。
私たちは飽きもせず、まだアルバイトを続けるか否かの押問答をしていた。
「大体、どうして喫茶店で働くのがダメなんですか!」
現在、朝の八時。お互い学校へ行くために慌ただしく準備をする中…。
皇羽さんは準備を進める手にも負けない速さで、口を動かす。
「この前の Ign:s の特集が乗った雑誌…萌々も見ただろ。あれを見たファンたちが、聖地とか何とか言って、お前が働く喫茶店に押しかけてんだよ」
「知ってますよ、繁盛していい事じゃないですか!」
「それだけじゃねぇよ!」
バサッと、皇羽さんは雑誌を私の目の前に広げる。さして真剣に見ない私に、皇羽さんが「ココ見ろ」と、指をさした。
そこには…秋奈さんの可愛い服を着た、平凡な私がのっぺりと写っていた。