大廟堂(だいびょうどう)の天井には、麒麟(きりん)鳳凰(ほうおう)霊亀(れいき)応竜(おうりゅう)といった四霊の生き物が鮮やかに描かれている。

板張りの床には何も置かれておらず、ただ広い空間が広がるばかりだ。

 その大廟堂の中に、四人の年若い男たちが固唾(かたず)を飲んで一点を見つめている。

 若者はいずれも年が近く、二十代頃かと思われるが、一人だけ少年が混じっていた。

まだあどけなさの残る少年は、恐怖で怯え震えている。そして、彼を守るように三人の青年は盾となり、巨大な神龍を睨み付けていた。

 大廟堂の片隅に現れた神龍は、大蛇のような長い肢体に、(わに)のように獰猛(どうもう)で大きな口を持ち、五本の鋭い爪には宝玉が握られている。

 神龍は大廟堂を出ようと、天井に頭を打ちつけたり、壁に突進したりしている。

己の意思を見失い、混乱しているようだ。

『大丈夫だ、劉赫。心配ない、私が治めてみせる』

 恐怖に怯える一番下の弟に向かって、一番上の兄は胸を張り、一歩前に出た。

利発で屈強な体を持つ頼もしい長男は、腰に差した大剣を抜いた。

笑みを浮かべているが、額には小粒ほどの汗が浮き出ている。

『さあ、神龍よ! 私の体に宿(やど)るがいい!』

 一番上の兄は、大廟堂に響き渡る大声を張り上げた。

神龍が声に気付き、一番上の兄を見下ろす。

 太剣を振り上げ、神龍に向かって突進していった一番上の兄を、神龍は怒りの形相で一飲みした。

 あっという間に消えた一番上の兄を見て、劉赫は悲鳴を上げた。