周は手帳から一枚のメモを取り出した。
「ミモザってさ、アカシアの仲間なんだけど…ほら、これ見て」
(え、このメモ…)
それは、いつか香魚子が周に書いた名前のメモだった。
「アカシアマネ、アカシア?」
柏木が声に出して読んだ。
「そう、俺の会社だから俺の名前をもじって入れるのもベタだけどありだなって思ってて。」
「アカシア株式会社とか〜?」
樅内が冗談めかして言った。

「“ミモザカンパニー”って名前。」

周が言った。
「ミモザカンパニー…」
香魚子も口に出してみた。
(良い響き…)
「へぇ、いいじゃん。明石っていろんなこと知ってるな。」
「ん?でもさ〜会社名が今発表されたのに、バースデーカードもミモザだよ?偶然?」
樅内の質問に、周は首を横に振った。
「このメモ書いたのが福士さんだから。福士さんが教えてくれたんだ。」
「え〜!そうなの?超すごい!」
「え、えっと…」
(あの時のメモ、こんなところで出てくるなんて…)
「だからさ、福士さんにはまずミモザカンパニーのロゴ作って欲しいんだよね。この手書きの雰囲気で英語のやつ。」
「…はい。」
樅内が二人をじっと見た。
「てことはさ〜、このバースデーカードって明石くんのためのデザインってこと?」
「え!あの…」
「めぐさん鋭いね。そうだよ、俺のため。」
香魚子は動揺して真っ赤になったが、周はあっさり言った。
「も〜!最初から言ってよー!えーなんか福士さんの反応見てるとこっちが恥ずかし〜かわいいー!」
樅内と柏木は同じ表情をしていた。