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氷王子は本当は悪魔王子だった。


そんな風にささやき始めたのは田中さんのいるグループの生徒たちだった。


彼女たちはもともと氷王子のファンだったけれど、自分の友人がひどく傷つけられたことに腹を立てて氷王子を共通の敵とみなすようになったようだ。


それでも氷王子はいつもどおりの態度で学校に来て、いつもどおり帰っていく。


噂はきっと彼の耳にも入っていると思うけれど、それで氷王子に変化が訪れることはなかった。


「あ~あ、今日は雨かぁ」


校舎を出た私は憂鬱なため息をこぼした。


今日は朝からついていない。


いつもの時間に電車に乗っても佑美はいなくて、どうしたのかと思っていると風邪を引いて休んだと担任の先生から聞いた。


佑美がいなくても数人の生徒と仲良くするようになっていたけれど、お昼はひとりで食べてとても味気ない気分になった。


それにクラスをまとめる佑美がいないからか、今日は田中さんたちのグループが少し目立っていた。