「……」

 惨状を見て迅は絶句している。

 ああ……呆れられてしまった。

 それを恥ずかしいとは思うけれど、もうどうしたらいいのか分からない。
 迅に助けを求めるしかなかった。

「迅……」
「あ、ああ。とにかく掃除だな」

 そうしてまずは二人で掃除することになった。

***

「あとは片しておくから、お前シャワー浴びて来い。いつまでもそのままだと取れなくなるぞ?」

 一通りふき取りが終わると迅はそう言ってあたしの持っていた雑巾も洗い始めた。

「うぅ……ありがとう……」

「それと夕飯。仕方ねぇから食わせてやるよ。シャワー浴びたら俺の部屋に来い」

「重ね重ねありがとう~……」

 掃除を手伝ってもらっただけでなく、夕飯もご馳走してくれるなんて……。

 もはや本当に妹みたいなものかもしれない。
 むしろ仮とはいえ彼女とか恥ずかしくて言っていられないよ。

 そんな風に恥と感謝を胸に刻み込みながら汚れを落としていった。

***

 シャワーから出ると迅の姿はなく、キッチンスペースは元の綺麗な状態に戻っていた。

 もうホント、感謝しかない。

 でも迅って家事スキルも結構あるんだね。
 掃除も料理も出来るとか。

 暴走族の総長ってことを忘れそうになっちゃうよ。


 なんて苦笑しながらあたしは自室を出て隣の迅の部屋に向かった。