恋愛はもうしないと決めたのに、次期社長にアプローチされて困ってます!

『あいつ、俺と付き合っておきながら他の男と何股もしてたんすよ。それで病気になって手術したんですけど、自業自得っすよね〜』

肉が抉られ、そこに塩を塗り込まれたような痛みが五月の心と体に広がっていく。五月は気が付けば傷痕のある場所に手を当てていた。もうあの時のことは思い出したくない。

「……数ヶ月前に別れましたから、いません」

俯き、声が震えるのを抑えながら何とか声を絞り出す。目の前で総悟がゆっくり息を吐くことだけがわかった。

「宇佐美さん」

「はい」

名前を呼ばれたため、五月は顔を上げる。総悟はさらに顔を赤くし、しかし真剣な顔をしている。何だろう、と五月が不思議に思っていると総悟は驚くことを口にした。

「君に一目惚れをしたんだ。結婚を前提に付き合ってくれませんか?」

「えっ……」

スパダリと密かに言われ、多くの女性社員が狙っている彼から告白をされるなど、夢にも思っていなかった。だが、五月の答えは決まっている。