里見さんは、うんざりしたように言う。 「すぐに休んだり、辞めたりして長続きしないのよね」 「私は仕事がなくなった後の生活のことを考えたら、簡単に辞める決断はできないですね」 「ほんとそうよ。ちゃんと将来のことを考えないと。竹中さんとは長く仕事できそうでよかったわ」 「私も、教えてくれる先輩が里見さんでよかったです」 「…まぁ、あの人のお眼鏡に適ったのが私だけだったのよね」 小さな声で里見さんがそう言ったのを、パソコンに集中していた私は聞き逃していた。